不動産譲渡所得税の計算のもとになるのは「売却益」

住宅の売却益は、その住宅を取得した際の価格と売却するためにかかった費用（譲渡費用）を売却価格から差し引くことで計算できます。

売却益（不動産譲渡所得）＝売却価格－取得費－譲渡費用

この売却益が、不動産売却によって発生した所得として考えられ、「不動産譲渡所得税」という税金を計算するもとの金額になります。そのため、譲渡にかかった費用の領収書を保管しておくことが大切です。不動産譲渡所得税を納める際には、住民税も一緒に納めなければなりません。

税率は住宅所有期間5年を境に半分になる

不動産譲渡所得税は売却益に税率を乗じて計算されますが、投機目的で購入と売却を繰り返しているのか、住み替えが目的なのかによって税率が変わる点に注意が必要です。目的を見分ける方法として、所有期間に着目し、住宅を所有していた期間が長いと住み替えが目的だとみなされ税率が低くなります。

所有期間が5年以下であれば、短期譲渡所得として所得税が30％、住民税が9％で合計39％の税金を支払わなければなりません。しかし、所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、所得税が15％、住民税が5％で合計20％、税金は半分程度に減ります。

特定の居住用財産の買い替えの特例

下の条件のすべてを満たすと、特定の居住用財産の買い替えの特例として、売却益からの控除が認められ、売った翌年の確定申告で税率の計算のもとになる不動産譲渡所得を抑えて税金を安くすることが可能です。

• 自分が住んでいるもしくは住まなくなって3年以内の住宅を売却する場合
• 2年以内に3，000万円控除などの住宅売却の特例を受けていない
• 売却価格が1億円以内
• 所有期間が10年を超えており、居住期間が10年以上である
• 買い替えで購入した物件の床面積が50㎡以上、土地面積は500㎡以上である
• 自宅を売却して3年以内の買い替えである
• 親子や夫婦、親族間の取引でないこと

売却時の対策1．不動産査定は複数社に依頼

不動産査定は、物件購入の資金計画にも影響する重要な作業です。必ず複数社に依頼して比較し、物件のあるエリアに強い不動産会社に依頼することをおすすめします。

売却時の対策2．近隣の類似物件の相場を確認

査定額だけでなく、近隣の類似物件の相場も売り出し価格を決める際に役立ちます。不動産取引サイト「レインズ」や国土交通省の「土地総合情報システム」で情報を集めておくとよいでしょう。早く売却してしまいたいという思いから、急いで売却額が安くなってしまうことがありますので、希望売却額だけでなく、「最低でもこの価格で売却したい」という下限を決めておくのがおすすめです。

物件選びのコツ1．資産価値の変動とローン

「老後は手がかからないマンションに住み替えたい」「定年したら地方に移住したい」と考えたりしている場合には、買い替え物件の将来的な資産価値も意識することが大切です。一戸建て住宅は築年数20年で建物の資産価値が0になり、土地の価値のみになります。また、マンションは築20年で底を打ち、その後はあまり変動しませんが、土地は底をついていません。

住宅ローンを利用する場合には、ローンの仮査定を行い、定年までに無理なく返済できるプランを立てることが大切です。ライフプランと再度の住み替えの計画も視野に入れて物件を選んでください。

物件選びのコツ2．環境もしっかりチェック

売却と購入を同時進行で進める不動産の買い替えでは、購入する物件の選定に時間をかけられない場合が少なくありません。日中の内覧でわかる間取りや立地条件などのチェックだけでなく、暗くなってからの周辺環境や物件の状況などもチェックすることをおすすめします。